脱炭素(カーボンニュートラル)の社会実現に向けて、様々な業界で革新的な技術の開発・導入や試行錯誤が積み重ねられていますが、それは船舶業界でも同様です。船のパーツなどに脱炭素の素材を用いることも重要ではありますが、船は大量の燃料を使用するので、燃料の脱炭素化が大きな鍵になります。そういった燃料は総称で「新燃料」と呼ばれています。
新燃料の二大有望株はアンモニア燃料と水素燃料ですが、万が一のガス漏れが発生した場合に人体への危険や火災の危険のリスクがあるため、船に搭載するためには綿密な防御設計が必要になります。そして、そもそも船に燃料を供給するための設備や配送手段、いわゆる「燃料供給網」を備えていくことができるのかが大きな課題になっています。航海中に港に立ち寄った際に、その港に新燃料を供給できる設備がなかったり、大量の燃料を供給できる体制が整っていなければ、航海ができなくなるからです。
様々なリスクを回避していくことと並行して、燃料供給の課題をどう解決するのか。これは当然のことながら、船舶業界が単独で解決できる問題ではなく、また、船は世界中を航海するので日本だけが解決すれば済む問題でもありません。
そういった整備(設備などの整備だけでなく法律面や行政面の整備も含めて)を進めるのは膨大な時間を要するため、アンモニア燃料や水素燃料を実装できる状況になるまでの橋渡しとして、天然ガスやバイオ燃料が注目を浴びています。バイオ燃料は従来の重油と混ぜて使用できるため、エンジンを交換しなくても使用できることが大きなメリットになっています。
また、CO2排出量を減らすためには、燃焼効率を高めたり、エンジンの一回ごとのピストン運動で出力できるパワーを増強したりすることも有効です。新燃料までの移行期間として、従来通りの重油を使用して、且つ、エネルギー効率が高いエンジンも大きく注目されています。
そんな新時代を迎えている状況で、イソダのすべり軸受は何か変わっていくのかと言うと、実は今のところ、従来通りのすべり軸受が新燃料エンジンを支え続けることになる見込みです。何故ならば、エンジンの燃料が変わっても、エンジン内部で潤滑油を循環させる構造は変わらないので、潤滑油で軸を押し上げるすべり軸受が必要になるからです。すべり軸受がアンモニアや水素に直接接触する構造になるならば、従来にはなかったリスクを考えなければならなくなりますが、そういうことにはならない見込みです。
船や大型機械が存在する限り、イソダのすべり軸受が活躍する世の中は続いていきます。逆に言えば、時代が変わろうとも、イソダメタルは健在であり続けなければならないという使命があります。これからも誠実にすべり軸受を製造し続けていきます。
